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国際関係研究お役立ち|いい人だから損もするけど|パリ・ブリュッセル知らず知らず
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published on 5th Sep. 2012 / /

各国の人口規模と下院定数一人あたりの人口比

日本の議会について、議員定数削減の議論がある。アメリカに比べて多すぎるとか、ヨーロッパに比べて少なすぎる(あるいは適正である)などの意見が見られるが、そもそも、議員一人あたりの人口というのは、各国の人口規模によるところがあるのではないかと思っていた。どんなに国の人口規模が小さくとも、一定数の議員は必要になるだろうと考えられる一方で、その基準をそのまま人口数億の大国に当てはめれば途方も無い議員数となるだろうことも自明だからだ。

そこで、まずはざっくりと表を作成し、グラフに落としてみた。サンプルに選択した国は、OECD加盟国および加盟候補国ならびにキー・パートナー国の約40カ国。G20も考えたが、議会制民主主義国ではないサウジが入るだけでなく、一定以上の人口規模の国に限定されてしまうとともに、サンプルが少ない。今回のOECDプラスアルファであれば、いわゆる先進民主主義国の集合(中国が入るが)であるとともに、人口規模のバリエーションに富み、一定数のサンプルが得られる。

データの整備は、学生の課題にしようかと考えていたのだが、同僚Mさんがちゃちゃっとくださった。感謝申し上げます。

まずは全体のグラフ。横軸は人口規模で、縦軸は下院議員一人あたりの人口(以下同じ)。10億クラスの中国(右下)とインド(右上)が人口規模で突出してしまっているが、それにしても「世界最大の民主主義国」インドは、意外に(?)一般的傾向から乖離していないことが興味深い。
というわけで中印両国を除外してみた。右上の人口3億で議員一人あたり70万人というアメリカに至る直線的傾向が見て取れる。この先にはインドもある。このグラフの中には日本をプロットしていないが、グラフに見える人口1億の国はメキシコで、下院議員数500名なので、ほぼ同じ位置に日本を置ける。ただし、人口25百万クラス付近までには別の傾向も見られることがわかる。そこで、拡大してみると...。
右上に見えるのは人口22百万で下院議員一人あたりの人口が約15万のオーストラリア(下院定数150名)。この範囲では、すなわち中小国では、このオーストラリアに至る直線的傾向が見える。ただし、ひとつ前のグラフでも分かる通り、下の方にアメリカを経由してインドに至る直線的傾向(大国基準?)に沿っている国々もある。ちなみに、このグループ(大国基準)にいるのは、ギリシャ、ポルトガル、ハンガリーとスウェーデン。意外な組み合わせ。かもしれない。

ちなみに、一つ前のグラフで人口50百万弱で「外れ値」的に大国基準になっているのはポーランド。人口50百万を超えるとそこからは「インドへの道」である。

というわけで、専門外の人間による素朴な疑問コーナーとして、十分に高校生の夏休み自由研究程度の知見は得られた。本気で分析する場合には、比較政治学的視点が必要になる。

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